げらげら

ノンフィクションとは限りません。

2022-04-18から1日間の記事一覧

零す

誰にも嫌われたくないというのは、まったく自分の抽象、自己の忘却なのだろう。誰にでも受け入れられる事実を口にしたところで、それは周知のトートロジーを繰り返しているにすぎず、つまり何も言っていないのと同じだ。そこに自我はない。 分かっているのに…

真っ暗の部屋に、人がうずくまっていた。脚を山折りし、両の拳を合わせ、顔を伏せていた。 亡霊かと思った。それでも湛えられた静寂に、白い幽光をみるみると発していた。 確かに見たのだ。それが嬉しかった。

分かりやすい「分かる」だけを拾うだけでは、うすっぺらな関係で留まるだけだと分かっていた。「分からない」ことを認めた先で本当に分かり合えるのか不安でたまらなくて、遠慮と畏怖に口をつぐんでいた。 分かり合うことが友達であるための必要条件でないこ…