2022-03-27 水 「いかないで」 二人を隔てるテーブルにグラスは一つ。注がれた水が採光を反射して、きらきらと輝いている。なるほど生きている。 「ごめん」 そうして彼だけ行った。残された彼女はただひたすらに涙に暮れて、それでも、グラスを一気に呷った。 それでも、生きなければならない。