げらげら

ノンフィクションとは限りません。

2022-03-27から1日間の記事一覧

「いかないで」 二人を隔てるテーブルにグラスは一つ。注がれた水が採光を反射して、きらきらと輝いている。なるほど生きている。 「ごめん」 そうして彼だけ行った。残された彼女はただひたすらに涙に暮れて、それでも、グラスを一気に呷った。 それでも、…

原罪

人を見下すことで自己を保つ試みは、人間らしいと言えば腥く、それ自体なまめかしいものの、やはり醜くて、愚かで、飽き飽きする。分かった気になっているのはどちら様? ただ、口惜しいのは、この言明もそうだということだ。

別れ

いなくなるなら与えないで、と切に願う一方で、いつかは皆いなくなるのだから、それが叶えば私は何も得ることができないな、とも思う。得るということは、それとの別れを受容するということなのだ。